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【ウォン・カーワイ】 マイブルーベリーナイツ 【英語デビュー作】

失恋した女性が気持ちを整理するための旅をしながら、深夜のカフェバーで出会った男に手紙を書くロードムービー。歌手ノラジョーンズの映画デビュー作。そして香港出身の監督ウォン・カーワイの英語作品のデビュー作でもある。この監督の映画はほとんど全部見ているオレとしては、期待するなというのが無理なくらい楽しみな映画だった。

これは本当に登場キャラの魅力が命の映画だ。そしてその魅力を支える映像力が圧倒的だった。撮影を担当したダリウス・コンジはデビット・フィンチャーの『セブン』やジャン・ピエール・ジュネの『ロストチルドレン』などの作品にも関わる珠玉の映像職人。影や障害物さえも映像美の一部に変えてしまう彼のカメラワークは、メインのノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウのみならず、脇を固めるデイビッド・ストラザーン、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマンにすら恋をしてしまうほど、人物の魅力を最大限に引き出していた。耽美マニアのウォン・カーワイはこの映像にアップやスローの多用を加えてその神髄を遺憾なく発揮。この映像美に、オレはメロメロにやられてしまったのだった。ウォンカーワイ曰く、「これはデビュー作なんです。」これはほんとそんなピュアな意気込みを感じられる映画です。

まあストーリーのほうは定番もいいとこで目新しさはないから、かつての『天使の涙』や『恋する惑星』のような勢いはないんだけど、映像重視の彼の描き方は落ち着いた大人の映画作りになったのかな。短編『若き仕立屋の恋』もそうだったけど、小さく纏めるのがうまくなった感じで、オレにはとても心地よくて、やっぱ自分も大人になってきたんだなって感じてしまった。10年前の作品『ブエノスアイレス』をもう一回見てみようと思いました。 Yahoo 映画のコメントを見るとこの手のお洒落映画にアレルギーのある人には眠いだなんだと叩かれまくりなんだけど、ウォン・カーワイのファンならまあ満足すること間違いなしだよね。