ローグ・ワン 俺たちのスターウォーズはこれだ

スター・ウォーズEP3とEP4の間に起きた反乱軍の作戦を描いたスピンオフ作品。 スター・ウォーズのガチファンとして鑑賞。 最低限EP4は観ておいたほうが楽しめる。   中盤までは使い古されたよくあるプロットの焼き直し感があり全然盛り上がらなかったが、後半のアクションはぶっちぎり素晴らしい。やってることは過去作と全く同じでありながら本作は特に宇宙戦と地上戦を多層的につなぐ編集のうまさが際立っており気持ちの高まりを抑えられない。オマージュ以上の満足度がある良作。   本作の宇宙+地上+基地内というバトル構成はEP6の後半バトルに近似しEP7も踏襲したスター・ウォーズの定石だが、結局のところこれが最高すぎてその場で絶叫したいほどに気持ちが盛り上がる。EP7もだったけどXウィングの大群が出た瞬間に思い出すんだよ、俺たちのスターウォーズはこれだって。宇宙での戦闘機バトル、地上での基地内バトル、宇宙船周辺バトル、屋外バトルのそれぞれで、登場キャラが一気に活躍する見せ場が立て続けに、まさに津波のように押し寄せる。そして最後の最後ダース・ベイダーの無双にダメ押しの決定打を決められ、もう降参としか言いようがない。俺たちこの無双が観たかったんでしょ?! プロットの大筋がSW過去作に近似しているのにジェダイ的なワイルドカードなしで成立してしまっている理由がはじめはわからなかった。だが、ジェダイが起こしてきた奇跡的な何かを起こすためにローグワンたちは命を掛けたのだ。ほぼ全滅するという悲劇はスピンオフならではの展開だったと思うとこの戦争を描いたことは意義深い。 後半バトルについてEP7よりもローグ・ワンのほうが好きな点は、ほんとこの宇宙と地上の戦いの編集バランスに尽きる。EP7はちょっとカットが早いというか盛り上がりを盛り上げきらず描きが軽くなってしまっている印象があったが、ローグ・ワンは緊張感を途切れさせない。各場面を丁寧に描ききったことが圧倒的な満足度に結実した。 小ネタだけど電波の主電源のレバーとかデータが入っているディスクみたいな機械とか、40年前の原作のレトロSF感をわざとらしく残していたのがダサかっこよくて笑ってしまったし、スターデストロイヤーを衝突させるシーンとかガンダムちっくな自己犠牲展開で、SF界が相互に影響受けて成長している感じがしてとても興奮した。   難点を挙げれば、前半のつまらなさである。この原因は、本作の脚本には初期スター・ウォーズ的な、言うなれば80sのバディムービー的な、このチームじゃなきゃダメだ感が全然ないことだ。登場人物の心情や性格、得意分野があまり印象に無く、要はキャラ立ちしないのである。ルーク、R2D2、C3PO、ハンソロ、チューバッカの組み合わせとは差別化しようとしたチーム構成だと思うが明らかに見劣りした。あえてジェダイを出さずに反乱軍の小隊にしたのはわかるが、ドニーさん的なクセキャラ尽くしにしても良かったんじゃないか。   EP7もローグワンも新しいスターウォーズをやるためにあえて過去作のオマージュだらけにしてて心地よくお腹いっぱいになる。逆にもうこれ以上オマージュできないと思うので、次はさらなる高みを目指して頑張ってほしい。   何か小さな文句をつけようとも総合的には非常に満足です。ギャレス・エドワーズ監督はじめスタッフの皆さんには賞賛の拍手を送りたい。