オールドボーイ

オールドボーイの韓国映画版を鑑賞。カンヌではグランプリを獲得。原作はマンガで土屋ガロン=狩撫麻礼。マンガを読まない私でも知っている狩撫が原作だと知ると、過剰に期待せざるを得ない。そして結論圧倒的な傑作であった。

ストーリーは復讐劇。悲劇あり謎解きありでエンターテイメントとしてに完成されていた。演出はまったく浮ついていない。復讐には金も地位も夢もファッションも関係無く、オヤジの執着心とエネルギーに満ちた行動を力強く描く。硬派なアクション映画である。

土屋ガロンの原作では、バブル時代を挟んだ日本社会で素直に生きられないアウトサイダーが主人公だったというが、この映画は韓国製だし時代背景も違うので社会文脈よりも個人的な復讐の感情を描いている。復讐に対する執念だけが生き甲斐となった二人の男。復讐にどうしてそんなに執着できるのかということを少し考えたが、オレにはなんとなくわかった。人生では自分が本質的にどういう価値観を持った人間であるかが非常に重要だ。心の底で自分が軸にしている価値観が人生を決める。二人の人生における一番のインパクトが、この復讐の原因であったのだろう。その描き方について深い説得力をもつ内容だった。